やばい。好きだ



クラスメイトの財前くん



不良っぽいところも、何気にやさしいところも、大すきなの











はじめてテニス部に朝練があってよかったと思った








「おはよう!」


「おはよ」







同じクラスになったときからずっと気になってた存在



まいにち挨拶できるだけでもしあわせだと感じるあたしは単純だろうか








「テニスがんばってな」


「そっちも」







わかってる


財前くんにとっては何気ないことばやってこと



でもこのことば1つであたしは頑張れるんやって



つたえる?むりだ



この状況でいい。じゅうぶんしあわせ。







あたしはそう言いきかせて女子テニス部の部活へ



まいにちのように友だちはあたしを冷やかす






「また財前にあってたやろ。顔あかいで!」






あたしは朝練のまえに部室のうらの水道に顔を洗いにいくのが習慣



そこからは男子テニス部の人たちがよく見えるの



今日も彼を見れる期待をむねに抱いて



でも今日はちがった


張本人がそこにいた







「ざ、いぜんくん?」






あたしに気づいて、彼も口をひらく






「よう会うな」





そのことばに、あたしは思わず聞いた






「めいわく?」





財前くんは驚いたようにあたしを見た






「迷惑なわけないやん」






どきっとした


まぶしい陽射しのなか、別の世界にひきこまれた感


嬉しいのをかくすためにあたしは言った






「テニスがんばってな」






すると財前くんは声に出してわらった






「それさっきも聞いたわ」





こんどはあたしの顔が熱くなるのがわかった



はじめての笑顔



うれしすぎる



思ってたよりずっとやさしい笑顔を脳裏に焼きつける



一生忘れるもんか





財前くんは口端をあげて、あたしを見る



そして言った







「じゃあこれで元気出すわ」






何のことかと思っていると急に彼の胸が目の前に



大きい手



あたしの背中にまわってる








「え、え、え?」







おどろきを隠せずにいると財前くんはまた笑った








"すき"
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しんじられなかった



まさか相手から?



どう返事して好いかわからずあたふたしていると、返事をもとめられた








「あたしも」






この言葉しか出なかった



しあわせすぎて、緊張しすぎて。



すべてが桃色にかわった



そして滲んだ








「なんで泣くん」



「嬉しすぎてに決まってるやん…!」







財前くんは笑みをこぼし、俺も泣こかな、といった





そういう子供じみたところもすきって伝えると小突かれた。うれしすぎてまた涙が出た













ラビュー・ラビュー