あたしは一人で屋上への階段を静かにのぼる


いまは授業中なのでもちろん誰も周りにはいなくて


先生には気分が悪いから保健室に行くと行くといった









ほんの出来心だったの









あたしは屋上の扉を開いておどろいた







「蔵……っ」






わたしは思わず大声を出しそうになって口をつぐんだ


そのまま静かに彼の横に腰をおろし、顔を覗きこむ



寝ててもきれいやなー



って無意識に思って自分で変態っぽいと落胆


そこでわたしはふと思った



い た ず ら し て や ろ う !



いつもからかわれてばかりのわたしも今日はちがう!


と彼の顔に落がきしてやろうと、わたしは自分の筆箱からペンをとった



そのとき



とつぜん蔵ノ介はわたしの手を掴んだ


がくんと体勢がくずれたわたしはそのまま彼に倒れこむ






「く、蔵ノ介っ…!」


「何、してんの、?」






わたしは激しく後悔した


最初から起きてたんや。


わたしは超至近距離にある彼の顔を直視しておもわず目をそらした


蔵ノ介は冷静にわたしが右手に持ってるものをみて言う





「何、そのペン?」




にっこりと笑顔で威圧してくる彼はある意味すごいと思う


でも今のわたしにはそんなことを考える余裕は無くて


ただ赤くなる顔を隠そうと必死だった




わたしがあははと笑ってごまかそうとすると蔵ノ介は




「おしおきやで」




といってにやりと笑った




え?とわたしが戸惑いを隠せずにいると


お互いの息がかかるくらい近くに彼はいた




嘘でしょうと思いながらも、この状態はさすがにやばいと思い


わたしは逃げようにも彼にがっちり抱きしめられていることに気付いて



蔵ノ介に、そんな目で見られると欲情すんねんけど、と言われてますます赤くなった







「本気なん?」


「俺が冗談でこんなことすると思う?」







そう言いつつ彼は顔を近づけてきた


わたしはあわててそっぽを向く





「っ、こころの準備が、」


「もうコントロールきかん」






キスなんていうのも初めてだったわたしは何ともいえない感覚に冒され彼に身をゆだねる体勢に


つぎに彼の口から出たことばが「すき」だったわけで


恋人どうしと言うにはまだ恥ずかしいけれど


今日からわたしたちはそういう関係に為れたことをしあわせに思いましょう






ほんの出来心でした