私の学校には教会がある…。


そこには、ジンクスがある。


とても素敵な…恋のジンクスが…。








「はぁ〜。」


私は1つ、溜息を吐いた。


「どないしたん?」


そう聞いてきたのは、謙也やった。


「あ、謙也。」


「さっきから上の空やな。。」


「せやかて、あと3日で卒業なんやで?」


「それがどないんしたん?」


「白石と離れてまうやんか。そんなの嫌や。」


「自分の気持ち伝えればええやん。」


謙也の言い方は、他人事のような言い方やった。


確かに、謙也から見れば、どうでもええ他人事やろうけど…。


「もう、ええわ。謙也に相談した私がアホやった。」


「ひでっ!」


謙也にそう言って、私は教室を出た。


「もう、どないしよ…。」


私がそう呟くと、後ろから肩を叩かれた。私は肩を跳ねさせ、振り返った。


そこにいたんは、千歳やった。


「何や千歳か。驚かさんといて。」


「驚かれたのに、俺は驚いたばい。」


「あぁ、すまん。んで、何用や?」


。お前、この学校のジンクスって、知ってるばい?」


「ジンクス…?」


私はこの学校にジンクスがある事すら、知らんかった。


「どんなん?」


私が聞くと、千歳は話してくれた。





「体育館の横にある教会は、お前も知ってるな?」


「あぁ、今じゃ使われてへん所やろ。」


「そうたい。でも、そこには、あるジンクスが存在するとや。」


それがどんなものかを、私は早く知りたかった。


「それは…。」


「それは?」


「その教会で、愛を誓い合った2人は永遠に結ばれる。というジンクスたい。」


意外に普通なジンクスやった。


「それで、それを私に言って、何しろと。」


「なに、まだ白石に気持ち伝えてなかったら、やってみて損はなかとよ。って、言いたかっただけたい。」


確かに、試してみる価値はあるやろうけど…。


「白石を誘うまでに、勇気がいる。」


「その辺は、謙也とか使えばよかとよ。」


今私は、鬼を見ている気分やった。


どうも、「人を使う。」という言い方は、鬼のような気がしてならない。


「それは、ちょっと、気が引けるな。」


「じゃあ、自分で誘ってみるばいね。そんじゃ。」


そう言って、千歳は立ち去った。


「ジンクス…、か…。」


私は、取り残された廊下で、そう呟いた。








教室に戻り、私は謙也に、そのジンクスのことを話した。


「そんなジンクスあったんやな。この学校。」


「うん。私も、千歳から初めて聞いたんや。」


「千歳も、よぉそんな情報、手に入れたな。」


「サボってるからな。色々な話、聞くんとちゃう?」


「そうかもな。で?」


謙也はいきなり強く聞いてきた。


「で?って、何が?」


「どないんするん?告白。」


「せやな…。気持ちは伝えたいんやけど…、やっぱ、勇気があらへんし。」


私がそう言うと、謙也は机を叩いた。


「あんなぁ!そんなウジウジしっとたら、実る恋も、実らなくなってまうで!」


「……。」


私は呆気をとられた。今の謙也の発言に納得がいったし。何より、説得力があった。


「せやな…。やらない後悔より、やった後悔の方がええよな。」


「せやせや。」


「よし!卒業式当日、頑張ったるで!!」


私がそう決心すると、謙也は聞いてきた。


「ところで、いつ誘うん?」


「え?当日で、ええやん。」


「アホ!当日は、学校ついて、そのまま卒業式やろ!誘ってる暇なんかあらへんで。」


謙也に言われるまで、その事を忘れとった。


「じゃあ、前日。」


私はそう言うと、謙也は呆れとった。


「自分、前日にちゃんと誘えるんか?」


「せやかて、2日、3日空けるよりは、次の日の方がええやん。」


私がそう言うと、謙也は少し考え込んだ。


「それも、そうやな。」


「せやろ?」


「ほな、頑張りや。」


「おぅ!」


私は明るく、そう答えた。








そして、前日までの時が流れた。


。今日やな。」


「うん。」


「ちゃんと、誘えよ。」


「分かっとるわ。」


私はそう言って、白石の教室に向った。


ドン!


教室を出ようとすると、私は誰かにぶつかった。


「いったぁ〜。」


「すまん。大丈夫か?」


その声には、聞き覚えがあった。


私は顔を向けると、やはり。


ぶつかった相手は白石やった。


「ししし、白石///」


「ほんま、すまんな。」


そう言って白石は、手を差し出してきた。私は、その手に、自分の手を授けた。


すると、白石は勢いよく立たせてくれた。


しかし、勢いが余り過ぎて、私は白石の方に倒れた。


「///ご、ゴメン!すぐ退くから!」


そう言って私が退こうとすると、白石は耳元で言ってきた。


「明日、卒業式が終わったら、教会で待っててくれ。」と。


それを言うと、白石は私を解放して、自分の教室へと戻って行った。


「今…、教会って、言ったよな?」


私は聞く相手なんかおらへんのに、疑問符をつけた。


そして、学校も終わり、家に帰って、頭の中で白石の言葉を繰り返していた。


私は胸に期待を抱きながら、明日になるのを待った。








そして次の日になった。


「それじゃ、行って来ます!!」


私は家族にそう言って、元気に家を出た。


「おぉ!おはようさん!」


そう言ってきたのは、謙也や。


「謙也!おはようさん!」


「白石をちゃんと誘えたか?」


そうだ。昨日は嬉し過ぎて、謙也に誘われた事を話すの忘れとった。


「えっと…それが…。」


「何やねん。はっきり言わんかい。」


「白石の方から、誘ってきた。」


「…は!?マジで!?」


私は頷いて返した。


「よかったやん!」


謙也は、自分の事みたいに喜んでくれた。


「うん!」


私も一緒に喜んだ。


そして、私達は学校に向った。








卒業式も終わり、私は教会の前で待っとた。


そして、白石もすぐ来た。


「白石。」


「すまんな、呼び出して。」


私は首を横に振った。


「あのな…、俺、に言いたい事があんねん。」


「な、何?」


予想はついていても、やっぱり本番になると、緊張が走る。


「はっきりゆうで。俺はの事が好きや。付き合ってくれへん?」


「…ほんまに…?」


私は確認で、聞き返した。


「ほんまや。」


「私も、私も白石の事が好きやった。」


私がそう言うと、白石は驚いた表情で聞いてきた。


「ほんま?!」


私は頷いて返した。


すると、白石に抱きつかれた。


「きゃっ!」


「俺もの事が好きやで!誰よりもな!」


「うん。私も好きやで、白石。」


私がそう言うと、白石は1回私を解放して、「呼び捨てでええ。」と言ってきた。


「え?あ・・・。」


私は白石の言いたい事が分かって、顔を赤く染めた。


「く、蔵ノ介///」


。ほんま好きやで。」


蔵ノ介はそう言うと、私の唇に自分の唇を重ねてきた。





そして私達は、教会に誓った。 永遠の愛を…。